長い夜-その1
次にシカゴへ向う飛行機は、予定通りなら、夜8時の出発。キャンセル待ちの状況は、出発の30〜45分前にならないと分からないと言うので、仕方なく空港内をプラプラする。時間的にいって、そろそろお腹が空いても良い頃だが、なんか、不安で食欲もない。
空港内の至る電光掲示板があり、直近のフライトスケジュールはそこで確認できる。えーっと、シカゴ行きの次のフライトは・・・・・と。
雪の為、1時間程度の遅れ。
うむ。しっかり遅れている。まぁ、遅れていても、飛ばないよりはマシだ。今日中にシカゴに辿り着ければ、なんとかなる。頼むから、このまま欠航にならないでくれよ・・・と祈るような気持ちで近くの椅子に腰を掛ける。・・・ふと、周りを見渡すと、なんだか私と同じ紙切れを持っている人がたくさんいる。そして、みんな、疲れたような表情をしている。・・・・そう、キャンセル待ちの人々だ。朝からキャンセルが続いてるせいで、当然、キャンセル待ちの人数もかなりの数になる。
こ、こりゃ、厳しいかなぁ・・・なんて思いつつも、他に手立ても無し・・・。
しばらくすると、搭乗ゲートのカウンターが賑わってきた。どうやら、飛行機は飛ぶらしい。カウンターの前にできた行列は、これからキャンセル待ちを登録する人々のようだ。ふふ、私はとっくに登録済みだ。こいつぁ、ひょっとすると上手く乗れるかも知れないぞ!
マダガスカルの相対的な位置は何ですか
出発ゲートの待合所には、テレビモニターがあり、出発が近づくとそこにキャンセル待ちリストが表示される。客席に空きがあると、番号の若い順に搭乗が許可される。目を凝らして、自分の名前を必死に探す・・・・え、えーっと・・・・あ!あった!・・・31番・・・う、うーん。
なんか、微妙。31番って、どうなの?・・・で、よくよく画面を見てみると、色んなコトが分かってきた。まず、キャンセル待ちの総人数は70名ほど。現在、キャンセル待ちから搭乗に昇格した人が5名。空き席または未確定の席は・・・・・0席。
0席・・・って、そんな・・・・・。いや、待てよ。もしかしたら、私の画面の見方が間違っているだけかも知れないぞ・・・。なんせ、英語で書かれているのだ。そうだ、きっとそうだ!よし、カウンターで確認しよう。・・・と最後の抵抗を試みる。
「あの・・・次のフライトのキャンセル待ちをしてるんですけど・・・」
「何番ですか?」
「えーっと、31番なんですが・・・」
「ムリですね」
・・・・
「え?じゃ、じゃあ、その次のフライトは・・・」
「ムリです」
・・・・
「今日中に乗れる可能性なんて・・・」
「無いですね。まったく。」
ナイんです。まったくナイないんです。今日中にシカゴに着ける可能性が。
はぁ・・・・困ったナァ。 (2004年1月上旬)
長い夜-その2
仕方なく、チケットカウンターで明朝発のフライトの手配をする。キャンセル待ちではなく、今度は確定予約だ。・・・飛行機が飛べばの話だが。
さて、これからが大変だ。授業は明日から始まってしまうので、まず、学校へ連絡しなければならない。ホームスティ先、空港リムジン、留学エージェント、家族にも連絡しておかなくちゃ・・。それから、宿の手配。うーん、まいったなぁ〜。はは。
■学校への連絡
テキサス州はそれを自分のタイムゾーンがありますか?
実は、この時点で、私は自分が通う学校の連絡先を知らない。知っているのは、なぜか同系列のニューヨーク校の電話番号とそこの緊急連絡先だけ。なぜだ??まぁ、いまさら、そんなコトを考えていても仕方がない。とにかく電話しなければ・・・。
時刻は夜9時、学校の営業している時間ではない。エージェントから渡された学校資料に書かれてあるニューヨークの緊急連絡先に電話する。
「もしもし、あ、あの・・・」 と、しどろもどろで、話し始める私。
「(いきなり)緊急なのか?」 怖そうな声の男性が答える。
一瞬、頭の中で、緊急なのか?と自問する。・・・うむ、緊急事態だ、少なくとも私にとっては。
「緊急です」と伝えると、学校の担当者に繋げてくれた。
今度出たのは、優しい声のお姉さん。四苦八苦しながらも何とか事情を伝えると、シカゴの学校とホームスティ先へは彼女から連絡してくれると言う。「何も心配入りませんよ」の言葉に、少し胸をなでおろす。
■空港リムジン
空港リムジンは、日本のエージェントを通して、語学学校に手配してもらったものだが、予定が変わった場合は、自分で直接連絡しなければならない。数時間前に予定のフライトがキャンセルされた旨の連絡を入れたのだが、翌日のフライトが確定したので、そのコトを伝える。シカゴに到着するのは、午前11時、新入生のオリエンテーションは既に始まっている時間だ。もともとの予定は、空港→ホームステイ先だったが、到着時刻を考えると、語学学校に直接出向いた方が良さそうだ。ちなみにこのリムジン代金は既に学校側へ支払い済み。
早速、リムジンの事務所に電話。明朝のフライトで到着する旨、目的地を語学学校に変更する旨は、なんとか伝わったようだが、心配なのはお金のこと。行き先が違えば、料金も変わってくるのが普通。元々自分で手配したワケじゃないので、どういう風に支払いがされるのかが定かではない。電話の相手に尋ねてみるが、うーん、イマイチ分からない。英語力の無さを痛感する。
ショック療法ロシア
理解できたのは、@空港から学校までは、通常60ドル(高い!)、A出迎えサービス(空港の荷物受取所から荷物を運んでくれるサービス)は追加で10ドル、B出迎えサービスを利用しない場合は、自分で荷物を持って外に出て、リムジン会社に電話すると、約8分でリムジンが迎えに来る、というコト。出迎えサービスは不要と伝え電話を切る。結局、料金の支払いのコトはちゃんと確認できなかったが、とにかく学校に辿り着くのが最優先。最悪の場合、運転手に料金を支払って、あとで学校から返してもらおう。 (2004年1月上旬)
長い夜-その3
次に、日本の留学エージェントに連絡を入れる。電話代は高いけど、日本語だから気が楽だ。で、事情を説明すると、「大変ですね〜、頑張って下さい。着いたら連絡下さいね〜。」・・・と。まぁ、斡旋業者など、そんなものだ。あまり頼りにしない方が良い。
ホームスティ先には、先程の学校担当者が連絡してくれるはずだが・・・もし、連絡してくれなかったら・・・@ホストファミリーが心配する、Aホストファミリーが激怒する・・・・なんか、不安になって来た。自分でも一応連絡を入れておこう。
今度は留守電ではなく、家の人が出た、優しそうな女性の声だ。一通り事情を説明すると、「さっき学校から連絡あったわよ。大変ね〜、ウチは全然OKだから、気を付けていらっしゃい」と暖かい言葉を頂く。「それでは明日・・・」と電話を切ろうとすると、
「あ、そうそう、あなたの他にもう一人留学生がウチにホームスティしてるのよ。明日、学校で会えるはずよ。」
聞いてねぇー。まるで聞いてねぇっすよ、留学エージェント!・・・・・・・まぁ、いいか。それはそれで。
その後、家族にも電話して、現状を伝える。ふぅ、これで一通り、連絡はOKかな。さて、次は宿泊先か・・・。空港のカウンターに行けば、教えてもらえるだろう・・・。トコトコ。
「あの・・・今日の飛行機がキャンセルになっちゃったんですけど、どこか泊まれるトコ教えてもらえます?」
「近くのホテルなら、ココとココと・・・・あ、それと、空港のロビーなら一晩中、解放してますが・・・」
「空港のロビーで寝ます」
えぇ、空港で寝ますとも。もともと使うはずのないお金を出費するのは気に入らない。それなら、カバンを抱いて、空港のロビーで寝る方がマシだ。ロビーで寝るコトを伝えたら、空港のスタッフがお泊りセット(歯ブラシ、ブラシ、ひげそり)をくれた。用意がいいぞ、デルタ航空。さて、そうと決まれば、腹ごしらえだ。色々、片付いたら、何だかお腹が空いてきた。さぁーて、食べよっかなぁ〜♪♪
ところが、色々連絡に手間取っている間に、空港内のほとんどの店が閉まってるじゃないですか。ぬおっ、夜メシ抜きは、ちょっとキツイぞ。フラフラと空港内を彷徨っていると、前方に希望の光を発見。砂漠の中のオアシス・・・コンビニだ。助かった。
大したものは売ってなかったが、とりあえず、スニッカーズとドリトス、ミネラルウォーターを購入。アメリカに着いた初日の夕飯が、スナックとは・・・。人気の無くなった空港ロビーで、ひとり、スニッカーズにかじりつく私。ちょっと面白かったので、思わず写真など取ってみたり。カウンターもクローズし、掃除係だけが働く真夜中の空港で、鞄を抱えロビーのシートに腰を掛ける。さて、寝るぞ!
・・・って寝れるワケねぇー。でも、明日着いたら、すぐに学校のオリエンテーションがあるもんなぁ・・・少しは寝なきゃナァ・・・。結局、午前9時のフライトまで、寝れたのはトータルで1時間半ほど。朝日の眩しさに目を細めながら、やっとのコトでシカゴ行きの飛行機に乗り込む。
さよなら、アトランタ空港。さぁ、いよいよシカゴに到着だ!! (2004年1月上旬)
続く
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